ひじきとは?
ひじきはオスとメスがそれぞれちがった株で育つ、雌雄異株の海藻です。雌株でそだった卵に雄株でそだった精子が受精し、受精卵となります。受精卵は水温が高くなる5月ごろから放出されはじめ7月ごろまで続きます。受精卵はやがて波の荒い海岸付近の岩場で、岩を覆うように生育します。はじめの1、2年はまだ小さく、3年目ごろのものが食用に採取できるようになります。学術分類的には褐藻植物、円胞子網、ひばまた目、ほんだわら科、ひじき属に属します。
因みに、「かいそう」は、漢字で「海藻」と「海草」の2つの書き方があるが、生物学的には、両者は別物である。
1.「海藻」・・・海中に生える藻類を指し、胞子によって子孫を増やす。体の色から紅藻類(岩のりなど)、緑藻類(青のりなど)、褐藻類(ひじき・昆布・わかめなど)に分けられ、多くは食用とされます。
2.「海草」・・・海中に生える種子植物のことで、花を咲かせ、種子を作って繁殖する。食べられないものが多い。
天然物と養殖物
ひじきの主な産地は、国内では房総半島、伊勢志摩、紀伊半島、四国、九州地区です。その他、外国からは韓国産が多く、最近では中国からも輸入されています。
現在約90%が輸入もので、国内産は僅か10%ほどです。
・天然物
荒磯で揉まれ、干潮時には天日や潮風にさらされる厳しい環境の元育つのでコシが強く、汚れが少ないひじきです。
また、水戻し後は、表面が艶々し、新鮮なほど色が茶褐色になるのが特徴です。国内産はほぼ100%天然産です。
・養殖物
天然のひじきの幼芽をロープに付け、波の静かな入江で栽培することにより計画的にひじきを生産できます。
一本の苗から枝分かれし、4~5本のひじきが成長ことから増養殖と呼んでいます。
ひじきには「長ひじき」と「芽ひじき」があるって知ってる?
ひじきには茎の部分と葉の部分に分かれます。この円柱形をした茎の部分を「長ひじき」、紡錘形をした葉の部分を「芽ひじき」又は(小芽ひじき・米ひじき)と呼ばれています。一般的に、長ひじきは歯ごたえがあり、芽ひじきは柔らかく食べやすいと言われています。
お好みに合わせて、いろいろな料理に使い分けてください。
ひじきの旬は冬
ひじきの葉が芽生えるのは9月から10月の上旬ごろで、そのころのものが一番おいしいと言われています。
しかし、その時期、ひじきはまだ小さく採取しにくい為、12月ごろから翌年の3月ごろまで取り入れの最盛期です。寒さが厳しいときのものほど、風味が在るといわれています。
干潮時に岩にへばりついたひじきが表れてくると、鎌で根元から刈り取ります。鎌で刈り取るのは、ひじきをいためない為です。
ひじきの加工
海から取ったままのひじきは渋味があり、そのまま干しても硬くて食べられません。
そこで、刈り取ったひじきは水洗いの後、釜で長時間蒸し煮にし、蒸らしたのち、天日干しをして、選別加工したものが店頭に並ぶ乾燥ひじきになります。
よく生ひじきと称して売られているものは、乾燥ひじきをもどしたものが多く、採取したものそのままということではありません。
ひじきの産地
ひじきは太平洋側で採れます。主な産地は、房総半島、伊勢志摩、紀伊半島、四国、九州地区です。
その他、外国からは韓国産及び、中国から輸入されています。
現在、90%が輸入もので、国内産は僅か10%程です。
ひじきの産地の特徴及び状況
国内産 500t〜600t
千葉房州産
生のまま煮る製法が特徴で、太く風味が良い。生産量は少ない。
東京を中心に消化されます。
伊勢産
太口で煮含みが良く歯ごたえのあるひじきです。
昔より伊勢ひじきとして知られ一番の高値に成っています。
愛媛産
細口で葉は小さく揃ったひじきです。食感はやわらかめ。
九州産
特に対馬、壱岐産は量も多く北側は太く、南側は、細いひじきです。
生産量として一番多いですが、年々少なくなっています。
韓国産 3000t〜4000t
95%以上が養殖です。太口で葉は大きく少し固めの食感です。風味は少ない。
中国産 2000t〜2500t
ほぼ100%が養殖です。細口で葉は非常に小さくよく揃っていて固めの食感です。
ひじきの日
三重県ひじき共同組合の目的の一部である、伊勢ひじき消費拡大・伊勢ひじきが健康食品であることのPR・伊勢ひじきが三重県の特産物であることのPRの為、昭和59年に制定。
カルシウム・鉄分等のミネラル、食物繊維が豊富で、添加物など一切使用していない伊勢ひじきは、健康食・長寿食として親しませています。これからの高齢化社会に向け、単に寿命が延びるだけでなく、健康に長生きしていくことが大切である、との考えから、「伊勢ひじきをもっと食べて健康に長生きして下さい」との願いを込めて、当時の〈敬老の日〉9月15日(現在は「老人の日」)を【ひじきの日】としました。
ひじきはなぜ黒いのか??
ひじきの色ですが、実は岩場に生息しているひじきは緑色なのです。
他の海藻と同じようにゆでると鮮やかな緑色に変化するのですが、ひじきに含まれる渋みの成分「タンニン」をとるために長時間加熱する必要があります。
長時間加熱することによって、タンニンが細胞の中から出てきて酸化し、緑だったひじきは黒色に変わってしまうのです。
江戸時代の書物にもひじきを長時間加熱した記載があり、昔から食べられていたと考えられていますが、何と縄文時代から食べられていたそうなのです。
渋みを抜くための人類の知恵は、1万年以上続いているのですね。